展示会は本当に効くのか──製造業経営者の判断が割れる理由

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この記事の結論

展示会の効果について経営者の判断が割れるのは、展示会自体の良し悪しではありません。商材が対面での説明を必要とするか、他の営業チャネルがどこまで機能しているか、そして展示会に何を求めているか──この3つの前提が違えば、同じ「展示会」という場でも得られる答えは正反対になります

展示会の効果とは、何を指しているのか

展示会の効果とは、来場者との接点獲得(リード獲得)から商談化、そして受注に至る一連のプロセスのうち、どの段階をもって「成果」とみなすかによって意味が変わる指標です。商談化率や受注率という数字だけを切り出して比べても、そもそも各社が展示会に何を期待して出展しているかが揃っていなければ、比較そのものが成り立ちません。

実際、私たちが保有する取材アーカイブには、同じ製造業経営者でありながら、展示会への評価がまったく逆方向を向いている証言が複数あります。まずはその4つの証言をそのまま並べてみます。

「効く」と語る経営者たち

電力変換機器を手がけるある企業の経営者は、展示会は一度の出展では存在を覚えてもらえないという前提のもと、継続的に出展を重ねてきました。その結果として、商談化率は3割を超える水準に達しています。ここで注目すべきは、この数字が単発の出展の成果ではなく、継続出展によって積み上がった認知の延長線上にあるという点です。新興国市場での「日本製への信頼」を武器に価格競争を避ける戦略と合わせて、展示会は一回の投資対効果ではなく、複数年にわたる信頼構築の装置として位置づけられています。

もう一社、海外拠点を持つ精密加工メーカーの経営者は、少し違う角度から展示会を評価しています。テレアポや直接営業が通用しにくくなっていく中で、最終的に最も成果に近い営業チャネルは展示会だと結論づけているのです。この評価は「展示会が絶対的に優れている」という話ではなく、他のチャネルが機能しなくなった結果として、相対的に展示会の価値が浮かび上がったという文脈で語られています。

「効かない」「割り切る」と語る経営者たち

一方で、特許技術をもとに自社製品開発を進めてきた精密旋盤加工メーカーの経営者は、まったく異なる実感を語っています。展示会から仕事につながることはほとんどなく、新規の実案件はインターネット経由が中心だと明言しているのです。この企業はもともと大手同業者の下請けが売上の大半を占める構造にあり、不況で仕事が一気になくなったことを機に、大学と連携した特許技術の取得と自社製品開発へ舵を切った経緯を持ちます。現在は、Web経由での新規案件獲得が実際に機能している状態にあり、展示会はむしろ海外人材の育成といった別の目的で活用される場になっています。

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