中小製造業のDX、始める前に共通する準備とは

manufacturing-dx-preparation

この記事の結論

製造業のDXは、事務や生産管理といった「川下」では進む一方、企画・開発・設計といった「川上」は遅れています。取材した複数の製造業に共通していたのは、ツールを選ぶ前に「何をデジタル化するか」「何を標準化してから着手するか」を先に決めていたことでした。

DXとは──そして「デジタル化」との違い

DXとは、デジタル技術の活用によって業務や事業のあり方そのものを変革することを指します。単に紙の作業をパソコンに置き換える、あるいは個別のツールを導入するといった「デジタル化」は、DXの手段の一つに過ぎず、それ自体が目的化してしまうと、効率化はできても変革には届きません。

この違いを最初に押さえておくことが、これから述べる「準備」の話の前提になります。

製造業のDXはどこまで進んでいるか──川下は進み、川上は遅れる

経済産業省・厚生労働省・文部科学省による2025年版ものづくり白書によると、工程別のデジタル技術活用による業務改善の実施率(企業規模を問わず全体)は、事務処理で43.9%、生産管理で43.7%と比較的高い一方、製造は39.9%、受発注・在庫管理は35.2%、品質管理は22.4%、企画・開発・設計は20.4%にとどまります。事務や生産管理といった「川下」側の業務では取り組みが進んでいるのに対し、企画・開発・設計という「川上」側では遅れが目立つという構図です。

さらに、企業規模による差も明確です。生産管理工程のデジタル技術活用実施率は、従業員50人以下の企業で37.9%であるのに対し、301人以上の企業では64.2%に達しています。規模が大きいほど、取り組みが進んでいる傾向がうかがえます。

なお同白書は、個社単位のデジタル化・効率化の成果に比べ、より広範な変革の領域は成果創出が限定的である、とも述べています。効率化と変革のあいだにある段差については、別記事「製造業DX、着手済みでも『稼ぐ力』に届かない訳」で詳しく扱っています。本記事では、まだDXに着手していない、あるいはこれから始める段階に焦点を当てます。

DX導入のきっかけにも規模による違いがあります。従業員規模が小さい企業では経営者・役員の発案が最多である一方、規模が大きい企業では社内からの要望が最多となっています。中小企業ほど、経営者自身の判断がDXの起点になりやすいということです。

※上記の数値は、経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2025年版ものづくり白書」(本文記載値)によるものです。同白書内では、JILPT(労働政策研究・研修機構)「ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査」(2025年5月)が委託調査として引用されており、上記の数値はこの委託調査に基づく製造業のデータです。全業種を対象とした調査ではありません。

成功する会社は「始める前」に何をしているのか

私たちが取材で出会ってきた複数の製造業を比較すると、ツールを導入する「後」の話ではなく、導入する「前」に共通する準備があることが見えてきました。ここからは、その共通項を5社の比較から具体的に見ていきます。

続きをご覧いただくには
「BizArena」への無料会員登録が必要です。


無料会員登録で、以下の特典をご利用いただけます!

  • ✅ 全ての記事を閲覧可能
  • ✅ 最新のイベント・セミナー情報を優先的にご案内
  • ✅ 営業ノウハウ満載の最新記事をメルマガでお届け

DX・デジタル化の記事一覧

ものづくり経営フォーラム のトップページへ戻る