日本のBtoB製造業には、世界に誇れる技術と経営哲学を持つ企業が数多く存在します。しかし、その価値が正しく伝わっていない企業もまた、数多く存在します。私たちがこのメディアを立ち上げた理由は、ただひとつ──優れたものづくりの知恵と孤独な意思決定の軌跡を、もっと多くの人に届けたいからです。
取材で出会った経営者たちのこと
姉妹メディアである『Sales First Magazine』副編集長として、製造業の経営者への取材に関わるようになって数年が経ちます。
取材の場で向き合う経営者の方々は、業種も規模もさまざまです。それでも、取材を重ねるうちに気づいたことがあります。どの方の歩みにも、簡単には語り尽くせない紆余曲折があるということです。
事業の危機、コロナ禍や自然災害による打撃、予期しない市場の変化──数々の困難をくぐり抜けてきた経験が、その方の言葉の重さになっています。今、業績が好調な会社の社長でも、その裏には必ず長い歴史がある。取材を重ねるたびに、経営者という仕事の重さを、あらためて実感してきました。
そして多くの経営者が、インタビューの終盤に同じようなことをおっしゃいます。
「振り返ると、人との出会いが自分を支えてくれたと思います」
業種も、会社の規模も、歩んできた道も違う方々が、同じようにそう言う。その言葉が、ずっと印象に残っています。
一方で、取材のたびに繰り返し聞いてきた言葉もあります。
「技術力には自信があるのに、どうしても新しい顧客を開拓できない」
「展示会で関心を引くことはできても、その先の受注に繋がらない」
優れた技術と製品を持ちながら、それを「価値」として伝える仕組みが追いついていない。この構造的なギャップが、日本の製造業に広く横たわっている現実だと感じています。
正解のない決断。経営者の「孤独」
現在、私はコーポレート本部長として自社の代表のすぐそばで仕事をしています。
目先の課題に向き合いながら、同時に誰よりも遠くを見ている──そんな経営者の感性に、日々触れる機会が多くあります。経営とは、孤独な営みだとつくづく思います。正解のない判断を積み重ね、組織を前に動かし続ける。その重さと緊張感を、いつも間近で感じています。
だからこそ、製造業の経営者が「同じ課題を抱える仲間の判断」に触れられる場をつくりたいと思いました。
優れた経営判断をした経営者の言葉が、別の経営者の背中を押す。他社の事例が、自社では気づかなかった視点を与える。このメディアを「フォーラム(知見を交わす広場)」と名付けたのは、一方的な情報発信ではなく、経営者同士が学び合う場にしたかったからです。
日本の製造業の価値を、世界へ届けたい
もうひとつ、個人的な動機を正直に書いておきたいと思います。
私は日本が好きです。世界を舞台に、第一線で活躍する日本人たちの姿を見るとき、胸が熱くなり、日本人として生まれたことを改めて誇りに思います。分野を問わず、海を越えてトップに立つ彼らへの感情は、単純な応援を超えて、どこか自分自身が肯定されるような感覚に近いかもしれません。
日本の製造業に対しても、同じような感情を持っています。精密さへのこだわり、改善を止めない現場の文化、顧客の「困った」に誠実に向き合い続ける姿勢──日本のものづくりが長年かけて培ってきた価値は、本来もっと世界に届いていていいはずです。しかし、発信するリソースや仕組みが整っていないために、「日本にそんな企業があるのか」と気づかれないまま終わることが、今も少なくありません。
だからこそ、まだ伝わっていない技術と理念をきちんと言語化し、国内外に届けていきたいのです。世界を舞台に活躍する日本人たちの姿に胸を熱くしたあの高揚感を、ものづくりの世界でも味わいたい。──それがイノベーター・ジャパンとして、そして私個人として、このメディアに込めた思いです。
御社の「判断」を、言語化させてください
取材のご依頼をお受けいただいた経営者の皆様に、いつもお伝えしていることがあります。
「御社の判断や哲学を、丁寧に言語化させてください」
特別な実績がある企業だけを取材したいわけではありません。課題にぶつかり、自分なりに考え、動いてきた──その軌跡そのものに、他の経営者にとっての学びが宿っていると信じています。そしてその学びは、もっと広く届けられるべきだとも思っています。
このメディアを通じて、一人でも多くの製造業経営者の方と出会えることを、楽しみにしています。
ものづくり経営フォーラム 編集長 亀田君子
さっそく本フォーラムの最初の「知見」として、弊社代表・渡辺による新連載を公開しました。テーマは、生成AIがもたらす新たな顧客獲得アプローチ『LLMO』についてです。これからの時代、自社の技術力をどうターゲットに届けていくべきか。その「判断軸」をアップデートするヒントとして、ぜひ第1回のコラムをお受け取りください。
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