この記事の結論
受注率が伸び悩む根本原因は、営業担当者の力量ではなく、活動量だけを測るKPI設計にあります。商談化率の可視化、提案後の進捗管理、失注要因の定量化という3つの視点でKPIを再設計することが、受注率改善の出発点になります。
商談件数を増やしても受注率が横ばいという状態は、営業担当者の努力不足ではなく、KPI設計の問題であるケースが少なくありません。商談化率・進捗管理・失注要因の定量化という3つの視点でKPIを再設計することが、受注率改善の出発点です。
KPI設計とは何か
KPI(重要業績評価指標)設計とは、営業活動のどの段階を、どの指標で測るかを決めることです。何を測るかによって、現場の行動は大きく変わります。「商談件数」だけを測れば、営業担当者は商談を増やすことに最適化します。一方で「商談化率」や「提案後の進捗」まで測れば、量だけでなく質やプロセスの改善に意識が向きます。
多くの製造業の営業現場では、展示会での名刺交換、技術資料のダウンロード、見積もり依頼、商談、受注という一連のプロセスがあります。この中で「商談件数」という一つの指標だけを追いかけると、プロセス全体で何が起きているかが見えなくなります。
商談数が増えても受注率が変わらない理由
BtoB製造業の営業現場では、「商談件数は前年より増えたのに受注率は横ばい」という課題が挙げられることがあります。この現象が起こる背景には、主に次の3点があります。
- 商談の質を評価する指標が不足している:件数目標を達成するために、受注確度の低い相手にも商談を設定してしまう
- 顧客の検討段階が把握できていない:情報収集段階の相手に、いきなり提案を持ち込んでしまう
- 商談以外のプロセスが可視化されていない:商談化率や提案後の進捗といった中間指標がなく、何が改善につながったかを振り返れない
Gartnerの研究によれば、B2B購買担当者が特定の供給者(取引候補となる企業)と直接接する時間は、購買プロセス全体のうち平均17%にとどまり、複数の供給者を比較検討している場合は、1社あたり5〜6%まで下がるとされています。つまり、営業担当者が商談の場で見ている顧客の姿は、購買プロセス全体のごく一部にすぎません。商談件数だけでは、購買プロセス全体を十分に把握することは難しくなります。
出典: Gartner, The New B2B Buying Journey(Brent Adamson, Matt Dixon, Pat Spenner, Tiffani Bova)
受注率を高めるための3つのKPI視点
受注率が伸び悩む組織から脱却するために、次の3つの視点でKPIを見直すことが有効です。